吉祥院(きちじょういん)(埼玉県川口市南町2-6-8)
室町時代の一時期に流行した「夜念仏供養板碑」で、延徳二年(1490)の紀年銘を持つ。
吉祥院 阿弥陀図像 夜念仏板碑 (室町時代中期 延徳二年 1490年、緑泥片岩、高さ 90Cm 下幅 30Cm)
門内参道、右手に立つ。来迎阿弥陀如来を本尊とする図像板碑で、下方中央に「夜念佛供養結衆」と刻まれている。 |
身部は一重線の輪郭を巻き、上方に光明放射の頭光を負い蓮座上に立つ来迎阿弥陀像、その下に前机・三具足、身部下方は紀年銘と多数の交名を刻む。
板碑 頭部
頭部山形、下に二条線、身部は一重線の輪郭を巻く。
身部上方、来迎阿弥陀像(来迎印を結ぶ)。 | 身部下方の刻銘 |
三具足の下、中央に「夜念佛供養結衆」、左右に「延徳二年(1490)庚戌、十一月廿四日」、その左右と上方に「彦五郎、六郎太郎、
七郎四郎、四郎五郎、右衛門五郎、太郎」、「益子、弥五郎、平内四郎、五郎三郎、弥四郎、弥藤五郎」の十二名の名を刻む。
前机(まえつくえ)と三具足(みつぐそく)
前机は敷布がかけられ、机上 右から燭台・香炉・花瓶の三具足が配されている。
身部、下方の刻銘
中央刻銘:「夜念佛供養結衆」、左右下刻銘:「延徳二年(1490)庚戌、十一月廿四日」
交名刻銘:「彦五郎、六郎太郎、七郎四郎、四郎五郎、右衛門五郎、太郎」、「益子、弥五郎、平内四郎、五郎三郎、弥四郎、弥藤五郎」
夜念仏は、よねぶつ、よねんぶつ、やねんぶつ、よるねんぶつ 等と読まれている。正式な仏教用語ではなく、夜、集団で念仏供養を行う民間
信仰の言葉で、板碑としては、「永享八年(1436)」を上限とし、「明応七年(1498)」を下限として六十数年の間に二十数基が知られている。・
刻銘(中央):「夜念佛供養結衆」 | 刻銘:「延徳二年(1490)、庚戌」 |
吉祥院(きちじょういん) 十三仏種子 庚申待板碑 石仏と石塔-目次!
吉祥院(きちじょういん)板碑群
覆屋の下、四基の板碑が安置されている。
*JR京浜東北線「川口駅」下車、西方向へ徒歩 約18分。
(撮影:平成25年3月9日)