吉祥院(きちじょういん)(埼玉県川口市南町2-6-8)
十三仏板碑としては珍しい四行式。碑面に「庚申待供養」と刻み、紀年銘は剥落する。
吉祥院(きちじょういん)十三仏種子板碑(室町時代、緑泥片岩、高さ 92Cm 最大幅 38Cm 厚さ 3Cm)
身部は瓔珞を垂らした天蓋の下、最上段に胎蔵界大日の種子を大きく、その下四列三段に、残り十二仏を蓮座上月輪内に刻む。 |
板碑 頭部
頭部山形を欠損する。下に申し訳程度の二条線、身部は一重線の輪郭を巻き、頂部に天蓋(てんがい)を刻む。
十三仏の最上段
⑫.胎蔵界大日如来(十三回忌)の種子「アーンク」(○内番号は、十三仏の順序)
最上段に大きく刻まれた胎蔵界大日如来の種子「アーンク(五点具足)」。
天蓋(てんがい)は単純な線で簡略化され、左右に三列の瓔珞(ようらく)を垂らしている。
最上段 大日の下、十二仏(四列三段)
十三仏の順序は、最下段右側 不動明王を基点として右から左へ、折返しに上に上がり 左から右へ、さらに折
返しに上に上がり 右から左へと続き、三つ目の種子 阿閦から最上段の大日(胎)を経由して 虚空蔵に戻る。
十三仏は、死者の追善供養のために①.初七日(不動)、②.二七日(釈迦)、③.三七日(文殊)、④.四七日(普賢)、⑤.五七日(地蔵)、⑥..六七日(弥勒)、⑦.七七日(薬師)、
⑧.百ヶ日(観音)、⑨.一周忌(勢至)、⑩.三回忌(阿弥陀)、⑪.七回忌(阿閦)、⑫.十三回忌(大日)、⑬.三十三回忌(虚空蔵)の十三仏事にわりあてられた仏・菩薩をいう。・・
最初の十仏は、閻魔王など十王の本地仏を、初七日(不動)から三回忌(阿弥陀)までに当て、この十仏に七回忌 阿閦、十三回忌 大日、三十三回忌 虚空蔵を加えたのが十三仏。
通常、最上段は虚空蔵菩薩(三十三回忌)だが、ここでは⑫..胎蔵界大日如来(十三回忌)の種子が刻まれている。
⑬.虚空蔵(三十三回忌) | ⑪.阿閦(七回忌) | ⑩.阿弥陀(三回忌) | ⑨.勢至(一周忌) |
(タラーク) | (ウーン) | (キリーク) | (サク) |
身部の種子列、上から一段目
順序からいえば、⑬.虚空蔵と最上段の⑫.大日が入れ替わっている。
⑤.地蔵(五七日) | ⑥.弥勒(六七日) | ⑦.薬師(七七日) | ⑧.観音(百ヶ日) |
(カ) | (ユ) | (バイ) | (サ) |
身部の種子列、上から二段目
④.普賢(四七日) | ③.文殊(三七日) | ②.釈迦(二七日) | ①.不動(初七日) |
(アン) | (マン) | (バク) | (カーン) |
身部の種子列、上から三段目
最下段右側を基点として右から左へ、初七日の不動明王から始まり最上段を経由して二段目、三十三回忌の虚空蔵菩薩で終わる。
十三仏板碑としては珍しい四行式の配列 | 刻銘:「奉庚申待供養」 |
身部 最下部
中央に前机・三具足(香炉・燭台・花瓶)を刻み、その両側に「道祐門」他 造立に携わった多数の交名が刻まれている。
向って右端に「奉庚申待供養」の刻銘がある。
吉祥院(きちじょういん)阿弥陀三尊種子板碑 石仏と石塔-目次!
吉祥院(きちじょういん)板碑群
覆屋の下、四基の板碑が安置されている。
*JR京浜東北線「川口駅」下車、西方向へ徒歩 約18分。
(撮影:平成25年3月9日)