正法寺(しょうぼうじ)六角塔婆(六面石幢)

 正法寺(しょうぼうじ)六面石幢(埼玉県東松山市岩殿1210)

   六面石幢は、幕末に分散されていたものを明治に組合わせたものといい、一面が欠けている。安土桃山時代 天正十年(1582)の紀年銘がある。

正法寺六面石幢(県指定文化財、安土桃山時代 天正十年 1582年、緑泥片岩、高さ 107Cm)

六面石幢は、緑泥片岩製板石を六枚組合わせて六角柱をつくり、頂部に六角形の笠石を載せる。板石の大きさは、縦 102Cm、幅36Cm。

 正法寺 六面石幢 第一面

最上部に日・月、その下に阿弥陀三尊種子、下方は「天正十年(1582)」の紀年銘を含む銘文を三行に刻む。

第一面 最上部

日・月が刻まれている。

阿弥陀三尊種子

上方に阿弥陀の種子「キリーク」を月輪内に、向って右下 に観音の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を刻む。

三尊とも蓮華座は刻まない。

第一面 下部

刻銘全文:「開山榮俊弟子、俊誉法師成佛」「天正十年(1582)二月彼岸中日」

正法寺は、奈良時代 養老二年(718)に沙門逸海が、この地に草庵を結んだのが始まりで、天正二年(1574) 栄俊が中興開山となっている。

刻銘:「天正十年(1582)二月 刻銘:「開山榮俊弟子、俊誉法師成佛」

中興開山の僧栄俊の弟子 俊誉法師の成仏を願って天正十年(1582)春 彼岸の中日に造立されている。

 正法寺 六面石幢 第二・三面

正法寺(しょうぼうじ)六面石幢(県指定文化財、安土桃山時代 天正十年 1582年)

六面石幢、第二面 六面石幢、第三面

第二面は、「岩殿山荒神山門山居」と刻み、中央に大日報身真言(胎蔵大日真言)を梵字「ア・ビ・ラ・ウーン・ケン」その下に「道照寿位」と刻む。

第三面は、板石の上・下が欠け 高さ 77Cm(他の四面は高さ 約102Cm)で、「百所順礼成弁、口口衛門」と刻んでいる。

 正法寺 六面石幢 第四面

第四面は、左右に「六地蔵」の種子、中央に梵字「ア」、その下に「道慶禅門佛果」と刻む。

 正法寺 六面石幢 第五面

第五面、上方に阿弥陀三尊種子、その下に「妙西禅尼」と刻む。

上方に阿弥陀の種子「キリーク」、向って右下 に観音の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を刻む。

三尊とも種子は線刻の月輪内に刻み、蓮華座は刻まない。

正法寺(しょうぼうじ)六面石幢(県指定文化財、安土桃山時代 天正十年 1582年)

六面石幢は、岩殿山荒神山門山居の僧 道照が、中興開山の僧栄俊の弟子 俊誉法師、道慶禅門、

妙西禅尼らを追善供養する為、安土桃山時代 天正十年(1582)春 彼岸の中日に造立している。・・・・

 正法寺 六面石幢 第六面

第六面は、現在欠失している。

第六面は、過去の拓本が残っており、それによると最上部に「日・月」、その下に胎蔵界大日如来

の種子「アーンク」、下方に「俊意法師、山居別立大徳」と刻み、下部は欠損していたという。

 正法寺 六面石幢 笠石

正法寺(しょうぼうじ)六面石幢 笠石 (緑泥片岩、直径 128Cm)

笠石の周縁は飛雲、裏側には双竜、宝珠、宝相華、飛雲 等が精緻な線刻で表されている。

笠石 周縁部

飛雲が、線刻されている。

 青蓮寺(しょうれんじ)阿弥陀種子板碑                        石仏と石塔-目次!

正法寺 (しょうぼうじ)観音堂 (明治十一年 1871年再建、札所本尊 千手観音)

正法寺は、沙門逸海がここに草庵を結んだのが始まりで、坂東三十三観音 第十番札所となっている。

 板碑(いたび)                       石 幢 (せきどう)

*東武東上線 高坂駅西口から川越観光バス鳩山ニュータウン行きに乗車、「大東文化大学バス停」下車 北西方向へ徒歩 約10分。六面石幢は、正法寺の向いの山中にあり、大東文化大学側の県道から行くと案内標があり、それに従って進めばよい。

(撮影:平成24年11月10日)