浄光寺(じょうこうじ)(埼玉県東松山市大字下青鳥126)
中尊が胎蔵界大日如来、脇侍が不動明王と薬師如来という珍しい組合わせの三尊板碑。主尊の大日種子は、月輪を光明真言で表し、頂点に三弁宝珠を置く。
浄光寺 胎蔵界大日三尊 種子板碑(市指定文化財、南北朝時代後期 永和五年 1379年、緑泥片岩、地上高 197Cm 下幅 49Cm)
板碑は門内参道の左手、覆屋内 向って右端に立つ。身部は、中央に胎蔵界大日を中尊とする三尊の種子、下方に銘文を刻む。 |
板碑 上部
頭部山形、その下に二段の切込、身部は一重線の輪郭を巻く。
蓮華座上月輪内に刻まれた胎蔵界大日三尊の種子 | 身部下方中央の刻銘:「永和第五天(1379)、己未、卯月」 |
身部中央に胎蔵界大日(五点具足)の種子「アーンク」、その下 向かって右に不動明王の種子「カーン」、左に薬師如来の種子「バイ」を蓮華座上月輪内に刻む。
身部下方は、中央に「永和第五天(1379)、己未、卯月」、左右に「奉造立逆修也」、「無徳金剛覚阿」の造立趣旨・造立者名を刻む。
胎蔵界大日如来(五点具足)の種子「アーンク」
胎蔵界大日如来の種子「アーンク」の月輪を光明真言で表し、頂点に三弁宝珠を刻む。
光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ、シャナ、マ、カーボ、ダラ、マ、ニ、ハン、ドマ、ジンバラ、ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン」
脇侍の種子「バイ」・「カーン」
向かって右方に不動明王の種子「カーン」、左方に薬師如来の種子「バイ」を蓮華座上月輪内に薬研彫する。
刻銘:「永和第五天(1379)、己未、卯月」 | 中尊が大日(胎)、脇侍が不動・薬師で、この組合わせは珍しい |
尚、永和五年の年号は3月21日迄で、3月22日からは康暦元年に改元されている。
板碑、下方の刻銘
向って右に「奉造立逆修也」の造立趣旨、左に「無徳金剛覚阿」の造立者名を刻む。
無徳金剛覚阿という僧が生前、自分の為に法要を営む逆修供養として造立された。
浄光寺(じょうこうじ)板碑群
中央は建長二年(1250)銘の阿弥陀三尊図像板碑、向って左は天正十三年(1585)銘 庚申待板碑。
浄光寺(じょうこうじ)本堂
*東武東上線 「東松山駅」下車、南西方向へ 約1.7Km。平成24年11月11日に最訪時、門内左手に覆屋が新築されていて、その中に板碑が集めて置かれていた。
(撮影:平成22年11月19日、平成24年11月11日)