本川俣墓地(ほんかわまたぼち)阿字一尊種子板碑

 千手院(せんじゅいん)(埼玉県羽生市本川俣1028)

   千手院の前、南側に隣接する墓地に立っている。胎蔵界大日如来の種子を刻む鎌倉時代後期の板碑

本川俣墓地 阿字一尊種子板碑 (鎌倉時代後期 嘉暦四年 1329年、緑泥片岩、高さ 161Cm)

身部上方に方形の輪郭を巻き、内に胎蔵界大日の種子「ア」を、大きく、深く、薬研彫する。板碑が分厚く、荘厳で存在感がある。

板碑 上部

頭部山形、その下に二段の切込をつくり、種子の周りに方形の輪郭を巻く

方形の輪郭内に刻まれた胎蔵界大日如来の種子「ア」 板碑、側・背面

板碑、下方の刻銘

中央に、「嘉暦四季(1329)己巳貳月、時正、第四、各敬白」の紀年銘

向かって右側に、「道日房 契院比丘尼法阿弥 弥三郎」「道照房 五郎太郎 妙眼尼 四郎三郎」密教房 孫八 浄法尼 出雲女」

「圓道房 山口入道 妙阿尼 弥三郎」「小輔房 道法房 道阿尼 虎正女」の刻銘があり、僧や尼、村の上・中流の人々の名前が刻まれている

向かって左側に、「肥後房 道西房 行阿尼 平次太郎」「言阿弥 慶月房 妙義尼 亀鶴母」「道妙房 西願房 性阿尼 次郎三郎」

「智妙房 口守四郎 道戒房 七郎三郎」「道念房 旦三郎 念西尼 教密房」の刻銘があり、僧や尼、村の上・中流の人々の名前が刻まれている

胎蔵界大日如来の種子が刻まれている所から、密教系 浄土信仰の板碑であろうといわれている。背面(右)は、ほとんど加工されていない

胎蔵界大日如来の種子「ア」

梵字の彫りも深く、デザイン的にも斬新な板碑である

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千 手 院 (せんじゅいん)

板碑は千手院前の広い墓地、千手院に近い側の中央に三基立っている

 板碑(いたび)

*東武伊勢崎線 「羽生駅」下車 、北方向へ 約2.4Km。羽生駅西口よりあい・あいバス(羽生市福祉バス)川俣・新郷ルートに乗車、「葛西親水公園バス停」下車 西方向へ 約200m。

(撮影:平成22年4月9日)