本川俣墓地(ほんかわまたぼち)二尊種子板碑

 千手院(せんじゅいん)(埼玉県羽生市本川俣1028)

   千手院の前、南側に隣接する墓地に立っている。胎蔵界大日如来と阿弥陀如来の種子を刻む鎌倉時代後期の板碑

本川俣墓地 二尊種子板碑 (鎌倉時代後期 嘉暦三年 1328年、緑泥片岩、高さ 144Cm)

身部上方、向かって右側に胎蔵界大日の種子「ア」、左側に阿弥陀如来の種子「キリーク」を、蓮華座上に薬研彫する。

板碑 上部

頭部山形、その下に二段の切込をつくる。塔身は一重線の輪郭を巻く

胎蔵界大日の種子「ア」(右)と阿弥陀の種子「キリーク」(左)が刻まれ、さらに刻銘から、密教系念仏信仰の人々により造立された事が分かる

蓮華座上に刻まれた梵字は、印象的に深く刻まれている。この板碑は、阿字一尊種子板碑の前年(嘉暦三年:1328年)に造立されている。

板碑の下方に紀年銘と造立趣旨が刻まれ、左側には胎蔵界大日報身真言「アビラウーンケン」、「後見之人、念仏十遍」と刻まれる

板碑、下方の刻銘

中央に、「右志者為、逆修善根、乃至法界、嘉暦三年(1328)戊辰卯月、八日の紀年銘

向かって右側に、「自華生歳十六沙門僧小輔尼」「妙法蓮華経 幷 妻 女」「沙弥 西佛」

左側に、「尼 善阿」胎蔵界大日報身真言「アビラウーンケン 沙弥教善」さらに「後見之人念佛十遍 尼妙阿」と刻まれる

 本川俣墓地 阿弥陀三尊種子板碑

本川俣墓地 三尊種子板碑 (緑泥片岩、高さ 102Cm 下幅 39Cm、銘文は磨滅)

身部上方 蓮華座上に阿弥陀如来の種子「キリーク」、下に観音菩薩の種子「サ」(向かって右)、勢至菩薩の種子「サク」(左)を蓮華座上に刻む

頭部山形、その下に二段の切込をつくる。塔身は一重線の輪郭を巻く。

身部、阿弥陀三尊の種子 板碑、背面

墓地内の石仏

 保呂羽堂(ほろはどう)阿弥陀種子板碑                       石仏と石塔-目次!

本川俣墓地、三基の板碑

向かって左端が、阿字一尊種子板碑、六地蔵を挟んで右端に阿弥陀三尊種子板碑と二尊種子板碑が並ぶ。後の樹木は千手院

 板碑(いたび)

*東武伊勢崎線 「羽生駅」下車 、北方向へ 約2.4Km。羽生駅西口よりあい・あいバス(羽生市福祉バス)川俣・新郷ルートに乗車、「葛西親水公園バス停」下車 西方向へ 約200m。

(撮影:平成22年4月9日)