長念寺 中村家墓地 釈迦三尊種子板碑

 長念寺(ちょうねんじ)(埼玉県飯能市白子260)

   釈迦三尊種子を刻んだ板碑で、南北朝時代中期 延文三年(1358)の紀年銘がある。

長念寺 中村家墓地 釈迦三尊種子板碑(南北朝時代中期 延文三年 1358年、緑泥片岩、高さ 146Cm 下幅 38Cm)

本堂西側、中村家墓地の最奥中央に立つ。身部は、上方に釈迦三尊の種子を蓮華座上月輪内に薬研彫し、下方に銘文を刻む。

板碑 頭部

頭部 山形は欠損する。下に二段の切込、額部は薄く突出し、身部は一重線の輪郭を巻く。

身部上方、蓮華座上月輪内に「釈迦三尊」の種子を刻む 身部下方、上方に金剛般若経に出る偈(げ)、その下に紀年銘 他を刻む。

釈迦三尊種子は、上に大きく釈迦如来の種子「バク」、向かって右下に文殊菩薩の種子「マン」、左下に普賢菩薩の種子「アン」を蓮華座上月輪内に刻む。

身部下方は、「金剛般若経に出る偈(げ)」、その下中央に「延文三(1358)、戊戌、十月日」左右に「弧月玄心和尚」、「預州 敬白」と刻む。

弧月玄心和尚の逆修供養(生前中、自らの為に死後の法要を行う)の為、延文三年(1358)に造立された。

金剛般若経に出る偈(げ)

偈(げ):「若以色見我(にゃくいしきけんが)、以音声求我(いおんじょうぐが)、是人行邪道(ぜにんぎょうじゃどう) 、不能見如来(ふのうけんにょらい)

[ 若し色(形)をもって我(釈迦)を見、音声をもって我(釈迦)を求めんとすれば、この人邪道を行じて、如来を見ること能わず。 ]

刻銘:「延文三(1358)、戊戌、十月日」 釈迦三尊を刻む板碑は、数が有りそうだがあまりなく、珍しい。

長念寺 中村家墓地 釈迦三尊種子板碑、側・背面

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長念寺(ちょうねんじ)本堂 (曹洞宗)

長念寺は、鎌倉時代後期 禅宗寺院として創建された。慶長三年(1598)能仁寺四世 格外玄逸禅師により再中興され、曹洞宗になった。

 板碑(いたび)

*西武池袋線「武蔵横手駅」下車、西方向へ徒歩 約12分。

(撮影:平成25年3月5日)