矢田(やだ)阿弥陀石仏

 矢田(やだ)阿弥陀石仏(岡山県新見市哲西町矢田)

   線刻の阿弥陀坐像と阿弥陀三尊種子を刻む板状の石仏で、石仏では岡山県で二番目に古い鎌倉時代中期 文永二年(1265)の紀年銘がある。

矢田(やだ)阿弥陀石仏(県指定文化財、鎌倉時代中期 文永二年 1265年、花崗岩、高さ 130Cm 像高 63Cm)

縦長で裾広がりの凹面のなかに、二重円光を負い蓮座上に坐す阿弥陀如来を線刻し、正面と両側面の上部に阿弥陀三尊種子を刻む。

昭和二年(1927)下半が埋まっていたのを発掘したという。全体に風化・摩耗が進んでいる。

阿弥陀如来坐像は、二重円光を負い、右手を上げ、左手は膝上に置く。蓮座の下は八角で、脚付の台座の前に香炉を刻むという。

向って右の枠に「右造立之志者為如意往生極楽也」、左枠に「文永二年(1265)八月廿日刑部入道口西敬白」の刻銘がある。

正面上部

線刻の月輪内に阿弥陀如来の種子「キリーク」を刻む。

左面上方、線刻の月輪内に勢至菩薩の種子「サク」を刻む。 右面上方、線刻の月輪内に観音菩薩の種子「サ」を刻む。

正面上部 阿弥陀種子「キリーク」、向って右面の観音種子「サ」、左面の勢至種子「サク」で阿弥陀三尊とする。

尚、左面勢至種子の下に二行の刻銘があるが、摩耗が激しく内容は判明していない。

向って左面、月輪内に勢至菩薩の種子「サク」を刻む。 向って右面、月輪内に観音菩薩の種子「サ」を刻む。

両側面、脇侍の種子

阿弥陀如来坐像(正面)   刻銘:「文永二年八月廿日」

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矢田 阿弥陀石仏と覆堂

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*JR芸備線 「矢神駅」下車、南東方向へ 徒歩 約27分。石仏は、矢神駅 前の道を南方向に下り、「鯉が窪湿原」方向へ左折、約600m行った道路沿いの小堂に安置されている。

(撮影:平成26年 3月10日)