穴観音(あなかんのん)(岡山県総社市奥坂)
穴観音と呼ばれる古墳時代後期の横穴式石室。その奥壁に向って左面の大石に十三仏種子を刻んだもので室町時代中期 天明十一年(1479)の在銘。
穴観音十三仏種子碑(市指定文化財、室町時代中期 文明十一年 1479年、花崗岩、高さ 118Cm 最大幅 130Cm)
十三仏は、最上段に虚空蔵種子、その下四列三段に、残り十二仏種子を蓮座上月輪内に平底彫りし、さらに下方の大型蓮座で請ける。 |
十三仏は、死者の追善供養のために①.初七日(不動)、②.二七日(釈迦)、③.三七日(文殊)、④.四七日(普賢)、⑤.五七日(地蔵)、⑥..六七日(弥勒)、⑦.七七日(薬師)、
⑧.百ヶ日(観音)、⑨.一周忌(勢至)、⑩.三回忌(阿弥陀)、⑪.七回忌(阿閦)、⑫.十三回忌(大日)、⑬.三十三回忌(虚空蔵)の十三仏事にわりあてられた仏・菩薩をいう。・・
最初の十仏は、閻魔王など十王の本地仏を、初七日(不動)から三回忌(阿弥陀)までに当て、この十仏に七回忌 阿閦、十三回忌 大日、三十三回忌 虚空蔵を加えたのが十三仏。
十三仏の最上段
⑬.虚空蔵(三十三回忌)(タラーク)(○内番号は、十三仏の順序)
⑫.大日如来(十三回忌) | ⑪.阿閦(七回忌) | ⑩.阿弥陀(三回忌) | ⑨.勢至(一周忌) |
(バン) | (ウーン) | (キリーク) | (サク) |
表面の種子列、最上段
⑧.観音(百ヶ日) | ⑦.薬師(七七日) | ⑥.弥勒(六七日) | ⑤.地蔵(五七日) |
(サ) | (バイ) | (ユ) | (カ) |
種子列、上から二段目
①.不動(初七日) | ②.釈迦(二七日) | ③.文殊(三七日) | ④.普賢(四七日) |
(カーン) | (バク) | (マン) | (アン) |
種子列、上から三段目
最下段左側 不動明王を基点として左から右へ、折返しに上に上がり右から左へ、その上も右から左へと続き、最上段の虚空蔵菩薩へと至る。
表面下方の大蓮座
左右両端から上方に各一本の蓮花を刻み、大きな花弁の中心に紀年銘と「周観」という名を刻む。
大蓮座、花弁の中心
刻銘:「文明十一天(1479)、己亥、周観」
現地説明図 | 石室正面鏡石の「線刻弁財天像」(近世の作品) |
横穴式石室(穴観音)
中央の鏡石に「弁財天像」、向って左面に「十三仏種子」と「維摩経縁起三像」が刻まれている。
十三仏種子は、石室内にある為、摩耗や損傷もなく極めて良い状態で残っている。
維摩経縁起三像(近世の作品)
向って左側に羅漢像、右側に毘沙門天像が見える。
穴観音
堂内の奥に横穴式石室がある。
*JR伯備線「総社駅」下車、北東方向へ 約9Km。駅前のレンタサイクルを利用するのが便利。
(撮影:平成26年3月28日)