当麻寺(たいまでら)水船

 当麻寺(たいまでら)(奈良県葛城市当麻1263)

   社寺に通常使われている形式の水船。その最も古いもので鎌倉時代後期 元徳三年(1331)の紀年銘がある。現在も現役として使用されている。

当麻寺(たいまでら)水船 (鎌倉時代後期 元徳三年 1331年、花崗岩、高さ 53Cm 長さ 151Cm 幅 100Cm)

当麻寺水船、東面 当麻寺水船、西面

水船は、各面の下方がやや狭くなる長方形で、東・西両面の上端中央に幅2Cm位の切込を入れ排水溝とする。

当麻寺水船、南面

十三行にわたり銘文が刻まれている。

南面の刻銘

刻銘:「南無阿弥陀佛、奉施入、當麻寺、石手水舟壱居、右為二親幽儀往生、佛土兼法界衆生、平等利益又自身、

決定証大菩提施入、如件、元徳三年辛巳正月 日、大施主 僧寂心 尼心妙、大工藤井延清、各敬白」

当麻曼荼羅信仰の僧 寂心と尼 心妙(夫妻と思われる)が、亡き二親の往生と自身の大菩提を証せんが為、元徳三年(1331)正月、当麻寺にこの水船を献納した。

「元徳三年辛巳正月 日、大施主 僧寂心 尼心妙、大工藤井延清 刻銘:「南無阿弥陀佛、奉施入、當麻寺、石手水舟壱居」

水船の刻銘(部分)

銘文に「石手水舟(いしちょうずぶね)」という名称や、「藤井延清」という大工名が刻まれており、興味深い。

当麻寺(たいまでら)水船 (鎌倉時代後期 元徳三年 1331年)

当麻寺本堂(曼荼羅堂)に向って右手前に置かれ、現在も手や口を清める手水として現役で使われている。

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当麻寺本堂(曼荼羅堂)(国宝、奈良時代末〜平安時代初、桁行七間 梁間六間、寄棟造り、本瓦葺

中将姫が感得したと伝える曼荼羅を祀る。浄土信仰の中心となった堂。

*近鉄南大阪線 「当麻寺駅」下車、西方向へ徒歩 約15分。

(撮影:平成25年6月13日)