洞(ほら)の仏頭石

 洞(ほら)の仏頭石(奈良県奈良市高畑町洞)

  独創的な形状をした仏頭石は、室町時代中期 永正十七年(1520)の銘があり、丁寧な仕事がなされている。

洞(ほら)の仏頭石(室町時代中期 永正十七年 1520年銘、花崗岩、高さ 106Cm)

各面に観音を薄肉彫りした六角柱の上に、如来の仏頭を丸彫りにする。如来は阿弥陀如来を表し、下に阿弥陀信仰に付随する六観音を配する

仏頭部

六角柱の上に如来形の頭部を丸彫りにする珍しい形で、他に例がない

仏身には六観音が薄肉に彫られている

六観音は、正面から時計回りに @十一面観音・A准胝(じゅんでい)観音・B如意輪観音・C聖観音・D千手観音・E馬頭観音で、仏頭は阿弥陀如来を表す

B.如意輪(にょいりん)観音 A.准胝(じゅんでい)観音 @.十一面(じゅういちめん)観音(正面)

仏身の六観音

@の十一面観音の左右に「口泉、権大僧都覚遍木食、永正十七年(1520)庚辰二月日」、Aの准胝観音の向かって右脇に「円空上人」と刻まれる

線刻 狛犬

六観音の蓮華座の下には、相対する狛犬が線刻されている

C.聖観音(しょうかんのん)(背面) D.千手(せんしゅ)観音 E.馬頭(ばとう)観音

仏身の六観音

正六角柱で、鉛筆のような形をしている

 頭塔(ずとう)・頭塔石仏                                  石仏と石塔-目次!

仏頭石の隣には、鎌倉時代中期 建長六年(1254)在銘の地蔵石仏が横たわっている

 石  仏-紀年順-目次

* 近鉄奈良駅下車、東方向へ 約2.3Km。

(撮影:平成19年2月11日、平成23年3月3日)