津金寺（つがねじ）石造宝塔中央塔

　津金寺（つがねじ）（長野県北佐久郡立科町大字山部279）

　　北信濃に栄えた豪族滋野氏の供養塔で、北塔と一対で造立されている。二基とも同じ鎌倉時代前期承久二年（1220）の紀年銘がある。

津金寺（つがねじ）石造宝塔中央塔（県指定文化財、鎌倉時代前期承久二年 1220年、安山岩、高さ 176.2Cm)


中央塔は、北塔と同形式で同時に立てられた。相輪は後補で、塔身の正面には種子で釈迦・多宝の二尊を刻んでいる。

笠

軒は緩やかに反り、軒裏に一重の垂木型を刻出する。降棟は、下向きの反り（照り）がある。


塔身は、円筒形で首部がなく、上下二石を合わせる。		塔身中央、月輪内に釈迦・多宝の二尊種子を刻む。

塔身の二尊種子は法華経信仰によるもので、月輪内向かって右に釈迦如来の種子「バク」、左に多宝如来の種子「ア」を薬研彫する。

塔身の刻銘（現地説明文、部分）

塔身は、正面の二仏種子を挟んで、左右に「承久二年（1220）、大才、庚辰」、

「卯月八日、滋野氏、造立之」の刻銘がある。

宝塔は、北塔と一対で滋野氏夫妻の逆修塔とみられている。


向かって左側の刻銘：「卯月八日、滋野氏、造立之」		右側の刻銘：「承久二年（1220）、大才、庚辰」

塔身の刻銘

基　礎（正・右側面）

基礎は扁平で、上端に塔身受けの円形座を刻出する。また、側面三面は輪郭を巻き、内に格狭間をつくる。

基　礎（背面）

背面のみ、側面は無地。


鎌倉時代前期承久二年（1220）の紀年銘がある貴重な石塔		相輪、後補

津金寺（つがねじ）石造宝塔三基（県指定文化財、鎌倉時代前期）

三基とも、朝廷直轄望月牧の牧場経営に携わっていた滋野一族の供養塔として造立された。

北塔と中央塔（手前二基）は、紀年銘が同じで滋野氏夫婦の逆修塔とみられている。南塔は、嘉禄三年（1227）の紀年銘がある。

　津金寺（つがねじ）石造宝塔南塔　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　石仏と石塔！

津金寺（つがねじ）観音堂（町指定文化財、江戸時代中期元禄十五年 1702年再建）

石造宝塔紀年順

＊しなの鉄道大屋駅前から東信観光バス中仙道線芦田行きに乗車、「上房バス停」下車徒歩約3分。

(撮影：平成27年3月26）