大迫寺跡(おおさこじあと)胎蔵界曼荼羅板碑

 大迫寺跡(おおさこじあと)(宮崎県日南市大字吉野方内ノ迫)

  身部に、胎蔵界曼荼羅 中台八葉院を刻む。板碑では、宮崎県最古 鎌倉時代後期 永仁三年〈1295〉の紀年銘がある

大迫寺跡 胎蔵界曼荼羅板碑 (県指定文化財、鎌倉時代後期 永仁三年 1295年、凝灰岩、高さ 176Cm 幅 41Cm)

大迫寺跡石塔群内の向かって右端の窪地に立つ。本石塔群で一番古い紀年銘を持つ板碑で、身部に胎蔵界曼荼羅中台八葉院を刻む。

大迫寺(真言宗)跡石塔群には、鎌倉時代から江戸時代の板碑や五輪塔・多宝塔などが約250基以上残っている。

板碑、頭部

頭部は山形、下に二条線、額部(がくぶ)は突出する。

胎蔵界曼荼羅 中台八葉院

中台八葉院は、二重の輪郭を巻き、その中央に胎蔵界大日種子「アーク」、周囲に四如来・四菩薩の種子を下記の通り刻む。

また、墨書きのあとが、二重輪郭内の四隅の文様や各種子の月輪等に見られる。

弥勒菩薩の種子「ユ」 - - 宝幢如来の種子「ア」 - - 普賢菩薩の種子「アン」
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天鼓雷音の種子「アク」 - -     胎蔵界大日如来の種子「アーク」     - - 開敷華王の種子「アー」
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観自在菩薩の種子「ボ」 - - 無量寿の種子「アン」 - - 文殊菩薩の種子「ア」

中央の大日如来四如来(黄文字色)四菩薩(青文字色)

刻銘:「永仁参季(1295)、大才、乙口

刻銘は紀年銘のみで、中台八葉院の下に大きく刻まれている。

板碑、背面

地中に埋まった根部も突出している。

本板碑と多宝塔群

大迫寺跡石塔群の向かって右端の窪地に立つ板碑と多宝塔群。

 大迫寺跡(おおさこじあと)金剛界大日種字板碑                          石仏と石塔-目次!

大迫寺跡(おおさこじあと)仁王像 覆屋

表通りにある仁王像から、左側の坂道を約200m登った場所に大迫寺跡石塔群がある。

石造の仁王像は、大迫寺の山門にあったものと考えられている。

 板碑(いたび)

*JR日南線 「飫肥駅」下車、西方向へ 徒歩 約40分。駅前にレンタサイクルがある。

(撮影:平成26年 5月29日)