向田野浦(むこうたのうら)地蔵磨崖仏

 向田野浦(むこうたのうら)地蔵磨崖仏(磨崖和霊石地蔵)(広島県三原市鷺浦町向田野浦)

  満潮時には、地蔵の肩辺りまで海中に没する。地獄から衆生を救済する地蔵菩薩がじっと海を見つめる。

向田野浦地蔵磨崖仏(県指定文化財、鎌倉時代後期 正安二年 1300年、花崗岩、像高 95Cm)

地蔵菩薩の向かって左に、地蔵本願経に出る偈(げ)と正安二年(1300)の紀年銘、仏師念心の刻銘がある

地蔵像の向かって左に「現在未来天人衆、吾今慇懃付属汝、以大神通方便□、勿令堕在諸悪□」の地蔵本願経に出る偈を四行に刻む

その左に「釈尊円寂二千二百五十一歳、干時正安二年(1300)庚子九月日、大願主散位平朝臣茂盛、幹縁道俗都合七十余人、仏師念心」とある

地蔵本願経に出る偈(げ)

偈(げ):「現在未来天人衆(げんざいみらいてんにんしゅう)吾今慇懃付属汝(ごこんいんぎんふしょくにょ)

以大神通方便力(いだいじんづうほうべんりき)勿令堕在諸悪趣(もつりょうだざいしょあくしゅ)

[ 現在未来の天界・人界の衆よ、われ今ねんごろに汝に付属し、大神通(だいじんづう)の方便を以てすくわん。諸々の悪趣に(人々)をおとしむるなかれ ]

海に面して、花崗岩の巨岩を約15Cm 舟形光背形彫りくぼめ、蓮華座上に右手に錫杖左手に宝珠を持った地蔵菩薩を半肉彫りする

宝瓶に生けた三茎蓮華 結跏趺座し海を見つめる地蔵菩薩

地蔵仏は、高さ 約2.7m、幅 約4.7m、厚さ 約4mの巨岩に彫り込まれている

地蔵像の向かって右方に「東西南北各於一町、□□□□殺生禁断」の文字のあとが見えるという

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フェリー乗り場のすぐそばに地蔵磨崖仏がある

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*三原港より向田港(佐木島)行きフェリーにて向田港下船 すぐ。最下段の写真で分かるようにフェリーを降りたら見えている。

(撮影:平成19年8月12日)