乳井神社墓地 開敷華王種子石塔婆(弘前市史 No:弘前16 )

 乳井神社墓地(にゅういじんじゃぼち)(青森県弘前市乳井字外ノ沢)

  種子「アー」を主尊とし、鎌倉時代後期 嘉元四年(1306)の紀年銘を持つもう一基の石塔婆。

開敷華王種子石塔婆 (市指定文化財、鎌倉時代後期 嘉元四年 1306年、石英安山岩、高さ 87Cm 幅 55Cm 厚さ 31Cm)

石塔婆群、中央の五輪塔から左に四基目。石面は、もう一基の石塔婆同様、上方月輪内に種子「アー」、下方に三行 願文と紀年銘を刻む。

開敷華王(かいふけおう)の種子「アー」は胎蔵界四仏でお馴染みで一尊で刻まれるのは珍しいが、この周辺ではままある。

石塔婆 上方

開敷華王(かいふけおう)如来の種子「アー」を月輪内に薬研彫する。

石塔婆 下方

刻銘は、左右に「右為比丘尼是阿現当、安穏乃至六道同利益、中央に「嘉元四年(1306)三月丗日、元阿、敬白と刻む。

阿号を持つ造立者が、同じく阿号を持つ「比丘尼 是阿」の現世と来世の安穏を願って、嘉元四年(1306)三月三十日に本石塔婆を造立した。

刻銘:「嘉元四年(1306)三月丗日」 石塔婆群には、もう一基種子「アー」を刻む同年銘の石塔がある。

乳井神社墓地石塔婆群、向って左側五基

開敷華王種子石塔婆は、向って左から二基目(右から四基目)に立つ。

乳井神社墓地 金剛界大日種子石塔婆(弘前市史 No:弘前24 )

 乳井神社墓地(にゅういじんじゃぼち)(青森県弘前市乳井字外ノ沢)

   金剛界大日種子「バン」を主尊とする石塔婆で、紀年銘は不明。

金剛界大日種子石塔婆 (市指定文化財、紀年銘不明、石英安山岩、高さ 99Cm 幅 36Cm 厚さ 32Cm)

この石塔婆のみ、石塔婆群から離れた「福王寺祖親九百拾年鎮霊式年祭」記念碑の右横に立っている。

乳井神社墓地に隣接して北側に乳井古館、北側 約500mに乳井城、乳井神社の南側 約500mに乳井茶臼館があった。これらの城館は、

「福王寺(乳井神社)」、「福王寺門前集落(寺内)」、「地蔵堂・南蔵坊があったとされる上乳井集落」の宗教的・軍事的防衛の為つくられている。

乳井茶臼館へ登る山道

両側にびっしりリンゴの木が植えてある。

 乳井神社墓地 康永二年銘 石塔婆                    石仏と石塔-目次!

乳井茶臼館跡から見た岩木山(1624.7m)

乳井茶臼館は、合戦に備えた砦として機能した。

 板碑(いたび)

*弘南鉄道 大鰐線「石川プール前駅」下車、北東方向へ 約1.7Km。または弘前バスターミナルから弘南バス 弘前~平賀線に乗車、「石川入口バス停」下車、南方向へ約750m。乳井神社墓地は、神社 社殿に向って左側の山道を少し登ると、「乳井神社の五輪塔・板碑群」の立札がある。その場所から山道を進まず、左手の高い丘陵側に登るとリンゴ園の一画にある。

(撮影:平成25年10月14日)