中別所 延文三年銘 金剛界大日種子石塔婆(弘前市史 No:弘前105)

 中別所(なかべっしょ)石塔婆群・石仏(いしぼとけ) [青森県弘前市中別所字葛野(くずの)]

   本石塔婆群、南北朝時代に入って最初の有年銘石塔婆で、延文三年(1358)銘。源(みなもと)吉茂の供養塔。

中別所 金剛界大日種子石塔婆 (南北朝時代中期 延文三年 1358年、安山岩、高さ 95Cm 幅 75Cm 厚さ 31Cm)

石面上方に金剛界大日如来の種子「バン」を薬研彫し、下方に願文と南北朝時代 中期 「延文三年(1358)」の紀年銘を刻む。

石塔婆 上方

金剛界大日如来の種子「バン」を薬研彫する。

石塔婆 下方

三行の刻銘があり、下方は土に埋もれている。

刻銘全文:「右志者為過去慈父、源義茂也法界平等、利 延文三(1358)戊戌、十月日、施主、敬白

父 源義茂の供養塔として、南北朝時代 延文三年(1358)十月に造立された。

本石塔婆群、南北朝時代に入って初めての有年銘石塔婆で、これより前が元亨三年(1323)銘のため、実に三十五年を経過している。

刻銘:延文三(1358)、戊戌 刻銘:源 義 茂」

在郷の有力者 源(みなもと)氏の名前がみえる。

中別所 金剛界大日種子石塔婆(弘前市史 No:弘前91)

 中別所(なかべっしょ)石塔婆群・石仏(いしぼとけ) [青森県弘前市中別所字葛野(くずの)]

  金剛界大日種子「バン」を主尊とする石塔婆で、下方に法華経 方便品に出る偈(げ)を刻んでいる。

中別所 金剛界大日種子石塔婆 (推定:鎌倉後期~南北朝時代、安山岩、高さ 137Cm 幅 85Cm 厚さ 19Cm)

石面中央に大きく金剛界大日如来の種子「バン」を薬研彫し、下方に法華経 方便品に出る偈(げ)を刻む。

石塔婆 上方

金剛界大日如来の種子「バン」を薬研彫する。彫りがやや浅い。

石塔婆 下方

法華経 方便品に出る偈(げ)を四行で刻んでいる。

偈(げ):「十方仏土中(じっぽうぶつどちゅう)唯有一乗法(ゆいういちじょうほう)」、「無二亦無三(むにやくむさん) 除仏方便説(じょぶつほうべんせつ

[ 十方の仏土の中には、ただ一乗の法のみあり、二もなく三もなし。仏の方便の説を除く ]

※ 中別所(なかべっしょ)石塔婆群 掲載分一覧

 中別所 延文四年銘 金剛界大日種子石塔婆                  石仏と石塔-目次!

中別所(なかべっしょ)石塔婆群 (石仏)

向って左端が、紀年銘のない金剛界大日種子石塔婆(弘前市史 No:弘前91)。

 板碑(いたび)

*JR 弘前駅前から弘南バス 弘前~船沢・三ツ森線、または弘前~弥生・新岡・葛原線に乗車、「折笠バス停」下車、北東方向へ約1.7Km。

(撮影:平成25年10月13日)