国吉 嘉暦四年銘 金剛界大日種子石塔婆(弘前市史No:弘前45 )

 国吉板碑群(くによしいたびぐん)(青森県弘前市国吉字村元)

   円鎮の逆修供養として造立された石塔婆で、鎌倉時代後期 嘉暦四年(1329)の紀年銘がある

金剛界大日種子石塔婆 (市指定文化財、鎌倉時代後期 嘉暦四年 1329年、安山岩、高さ 120Cm 幅 80Cm 厚さ 26Cm)

石塔婆群左列、右から二基目。自然石の縁を荒く成形し、石面上方に金剛界大日種子、下方に二段の銘文を刻む。

石塔婆 頂部

頭部は、山形に似せ成形する。身部の輪郭線はない。

石塔婆 上方

金剛界大日如来の種子「バン」を薬研彫する。

石塔婆下方の刻銘

身部下方の刻銘は、上段に法華経 譬喩品に出る偈(げ)今此三界皆是我有其中衆生悉是吾子を刻み、

下段に「是以逆修意趣者、圓鎮現世安穏後、生善処乃至法界、平等利益 嘉暦四(1329)卯月 日、敬白と刻む。

法華経 譬喩品に出る偈(げ)

偈(げ):「今此三界(こんしさんがい)皆是我有(かいぜがう)其中衆生(ごちゅうしゅじょう)悉是吾子(しつぜごし)

[ 今、この三界(欲界・色界・無色界)はみなこれ我が有するところ、その中の衆生はことごとく我が子なり ]

石塔婆 下方(刻銘 下段)

刻銘:「是以逆修意趣者、圓鎮現世安穏後、生善処乃至法界、平等利益 嘉暦四(1329)卯月 日、敬白

嘉暦四年(1329)四月、円鎮の現世安穏後生善処を願って本石塔婆が造立された。

法華経薬草喩品に出る偈(げ):「現世安穏(げんぜあんのん)、後生善処(ごしょうぜんしょ)

[ 現世は安穏にして、後には弥陀の浄土に生ぜんことを ]

国吉(くによし)金剛界大日種子石塔婆(弘前市史No:弘前47 )

 国吉板碑群(くによしいたびぐん)(青森県弘前市国吉字村元)

   金剛界大日種子を主尊とする石塔婆で、刻銘は磨滅し紀年銘は不明

国吉 金剛界大日種子石塔婆 (市指定文化財、紀年銘不明、凝灰岩、高さ 80Cm 幅 48Cm 厚さ 11Cm)

石塔婆群左列、右から四基目。石面上方、右上から左下にかけて欠損、身部は金剛界大日種子、下方の刻銘は磨滅する。

石塔婆 上方

金剛界大日如来の種子「バン」

国吉石塔婆群、左側面の五基

嘉暦四年銘石塔婆は、向って右から二基目、紀年銘のない大日種子石塔婆は四基目。

国吉板碑(石塔婆)群 配置図 (現地説明板 部分)

国吉板碑群は、(1)~(12)の12基が市の文化財に指定されている。

嘉暦四年銘石塔婆は(5)の位置、紀年銘のない大日種子石塔婆は(7)の位置に立つ。

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岩木山(1624.7m)

「国吉板碑群」の近く、県道28号線から見た岩木山。

 板碑(いたび)

*JR弘前駅前から弘南バス 弘前~大秋・川原線に乗車、「高野バス停」下車、南西方向へ 約800m。「弘前駅観光案内所」で、レンタサイクルを利用するのも便利。

(撮影:平成25年10月14日)