石田共同墓地 胎蔵界大日三尊種子自然石塔婆

 石田(いしだ)共同墓地 [青森県弘前市大字独狐(とっこ)字石田]

  快泉別当の五七日(三十五日)忌に造立された石塔婆で、珍しい大日三尊種子を刻む。鎌倉時代後期 正和五年(1316)の紀年銘がある。

石田共同墓地 胎蔵界大日三尊種子自然石塔婆(鎌倉時代後期 正和五年 1316年、安山岩、高さ 108Cm 幅 60Cm)

石田集落の北側にある小墓地に立つ。石面に長方形の枠を入れ、上方に胎蔵界大日 三尊種子、下方に願文と紀年銘を刻む。

石塔婆 上部

枠内に、胎蔵界大日三尊の種子を刻む。

三尊種子は、上方に胎蔵界大日種子「アンク」向かって右下に降三世明王の種子「ウーン」、左下に不動明王の種子「カーン」を刻む。

主尊種子「アンク」は、仏尊名が見当たらない。種子は「アーンク」のウ点がない形、または「アン」に涅槃点をつけた形、または「アク」に空点と

荘厳をつけた形で、読むとすれば「アンク」だろう。脇侍に「降三世明王」と「不動明王」がの種子が刻まれ、尊名は胎蔵界大日如来がふさわしい。

石塔婆 下部

下半の枠内に五行で、願文と紀年銘を刻んでいる。

刻銘:「右快泉別當五七忌、立石塔願故三口吉、口善菩提心速成仏身、而已、正和五(1316)仲秋(八月)下旬未、謹立」

鎌倉時代後期 正和五年(1316)八月、快泉別当の五七日(三十五日)忌に造立された。

左側三行の刻銘 右側二行の刻銘

右側二行の刻銘:「右快泉別當五七忌、立石塔願故三口吉」

左側三行の刻銘:「口善菩提心速成仏身、而已、正和五(1316)仲秋(八月)下旬未、謹立」

文面「速成仏身」は、法華経 如来寿量品に出る「速成就仏身」[ 速(すみやか)に仏身を成就せんことを得せしめん ] のことか。

刻銘:「正和五(1316)仲秋(八月) 本石塔婆 大日三尊種子の配列は、あまり例がない。

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墓地横のリンゴ園

「りんご」が、たわわに実っていた。

 板碑(いたび)

*JR 弘前駅前から弘南バス 弘前~鰺ヶ沢線、または弘前~糠坪・楢の木・堂ヶ沢線に乗車、「独狐(とっこ)バス停」下車、北東方向へ約400m。

(撮影:平成25年10月13日)