多福院(たふくいん)虚空蔵種子石塔婆

 多福院(たふくいん)本堂脇石塔婆群 (宮城県石巻市吉野町1-4-9)

   「三十三回忌」供養(本地仏:虚空蔵)に造立された石塔婆で、本尊として虚空蔵種子「タラーク」を刻んでいる。

多福院 虚空蔵種子石塔婆(中央)(市指定文化財、室町時代前期 応永七年 1400年、粘板岩、高さ 123Cm 幅 31.5Cm)

身部は、上方月輪内に虚空蔵種子「タラーク」、その月輪の内側に沿って梵字「光明真言」、下方は三行で願文及び紀年銘を刻む。

碑面上方、「虚空蔵種子」

月輪内に三十三回忌の本尊 虚空蔵種子「タラーク」を薬研彫する。

さらに、月輪内側の下方、六時の方向から時計回りに梵字「光明真言」刻む。

光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ、シャナ、マ、カーボ、ダラ、マ、ニ、ハンドマ、ジンバ、ラ、ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン」

石塔婆 下部、刻銘 (全文) 刻銘:應永七年(1400)十一月八日

石塔婆 下部の刻銘は、中央に「應永七年(1400)十一月八日施主敬白」の紀年銘、

左右に「右志者為箆峯寺前住思礼和尚三十、三廻忌景乃至法界平等利益故也」と刻んでいる。

箆峯寺前に住んでいた思礼和尚の三十三回忌供養として室町時代前期 応永七年(1400)十一月八日に造立された。

(尚、「箆峯寺」は宮城県遠田郡涌谷町の無夷山箆峯寺に比定されるという。)

多福院(たふくいん)観音種子石塔婆

 多福院(たふくいん)本堂脇石塔婆群 (宮城県石巻市吉野町1-4-9)

   葛西氏八代満良公 一周忌の追善供養として室町時代前期 応安八年(1400)に造立された石塔婆。

多福院 観音種子石塔婆(中央)(市指定文化財、室町時代前期 応安八年 1401年、粘板岩、高さ 167Cm 幅 43Cm)

頭部は破損する。身部は、上方に観音種子「サ」、その下に四行で梵字「光明真言」、下方は五行で願文及び紀年銘を刻む。

碑面上方、「観音種子」

大きく観音菩薩の種子「サ」を薬研彫する。

碑は「蓮昇大禅定門」一周忌の追善供養として造立された。

一周忌の本尊は、勢至菩薩「サク」だが、ここでは観音菩薩「サ」が使われている。

光明真言 (梵字)

観音種子の下に四行で刻まれている。

光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ」、「シャナ、マ、カーボ、ダラ」、「マ、ニ、ハンドマ、ジンバ、ラ」、「ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン、ダ」

石塔婆 下部、刻銘 (全文)

石塔婆 下部の刻銘は、中央に「右趣志者為 応安八年(1401)、辛巳、五月二日、敬白の紀年銘、

その両側に各二行「夫以塔婆大日如来三摩耶形周遍、法界唯心造立此者減罪生善指南也」、

依之蓮昇大禅定門一周忌追善出離、生死頓證菩提乃至法界同利益故也」と刻んでいる。

碑は「蓮昇大禅定門」(葛西氏八代満良公とされる)一周忌の追善供養として室町時代前期 応安八年(1400)五月二日に造立された。

尚、通常は願文の冒頭部分にある「右志趣者為」の部分が、中央の紀年銘の上にあるのも注目される。

刻銘:蓮昇大禅定門一周忌 刻銘:「応安八年(1401)、辛巳、五月二日、敬白

※ 多福院と慈恩院の石塔婆(当HP,掲載分) 時代別一覧

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多福院(たふくいん)本堂脇 石塔婆群

 板碑(いたび)

*JR石巻線・仙石線 「石巻駅」下車、南東方向へ徒歩 約1.6Km。

(撮影:平成26年4月10日)