多福院(たふくいん)胎蔵界大日種子石塔婆

 多福院(たふくいん)本堂脇石塔婆群 (宮城県石巻市吉野町1-4-9)

   「十三回忌」供養(本地仏:大日)に造立された石塔婆で、本尊として胎蔵界大日種子「アーンク」を刻んでいる。

多福院 胎蔵界大日種子石塔婆(市指定文化財、室町時代前期 応永二十三年 1416年、粘板岩、高さ 141Cm 幅 40.5Cm)
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頭部はアーチ型。身部は、上方に胎蔵界大日種子「アーンク」、下方は三行で願文及び「応永二十三年(1416)」の紀年銘を刻む。

碑面上方、「胎蔵界大日種子(五点具足)

十三回忌の本尊 胎蔵界大日如来の種子「アーンク」を薬研彫する。

「アーンク」は、発心(命点)・修行・菩提(空点)・涅槃・方便究竟の五点を備える。

光明真言 (梵字)

胎蔵界大日種子の下に四行で刻まれている。

光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ」、「シャナ、マ、カーボ、ダラ」、「マ、ニ、ハンドマ、ジンバ、ラ」、「ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン、ダ」

この真言で加持した土砂を死体の上にかけると、その加持力により諸々の罪障を除いて極楽浄土に往生できると説かれている。

石塔婆 下部、刻銘 (全文)

石塔婆 下部の刻銘は、中央に「右塔婆造立趣者 應永二十三年(1416)、丙申、四月廿四日、孝子等、敬白の紀年銘、

左右に「相当道阿禅門十三年忌景、乃至法界衆生平等普利」と刻んでいる。

道阿禅門の十三回忌供養として室町時代前期 応永二十三年(1416)四月二十四日に子供等により造立された。

尚、通常は願文の冒頭部分にある「右塔婆造立志趣者」の部分が、中央の紀年銘の上にあるのも注目される。

多福院(たふくいん)虚空蔵種子石塔婆

 多福院(たふくいん)本堂脇石塔婆群 (宮城県石巻市吉野町1-4-9)

   「三十三回忌」供養(本地仏:虚空蔵)に造立された石塔婆で、本尊として虚空蔵種子「タラーク」を刻んでいる。

多福院 虚空蔵種子石塔婆(中央)(市指定文化財、室町時代前期 応安十九年 1412年、粘板岩、高さ 143Cm 幅 36Cm)

頭部は欠失する。身部は、上方に虚空蔵種子、その下に四行で般若心経秘鍵に出る偈(げ)、下方は願文及び紀年銘を刻む。

石塔婆 下部、刻銘 (全文)

石塔婆 下部の刻銘は、中央に「率塔婆造立志者 応安十九年(1412)十一月二日の紀年銘、

その左右に「酬了周禅門三十三年忌、為追善頓證菩提指南也、乃至法界普平等利益 孝子敬白」と刻んでいる。

碑は「了周禅門」三十三回忌の追善供養として室町時代前期 応安十九年(1412)十一月二日に造立された。

碑面上方、「虚空蔵種子」

大きく虚空蔵菩薩の種子「タラーク」を薬研彫する。

碑面下方、般若心経秘鍵に出る偈(げ)

偈(げ):「真言不思議(しんごんふしぎ)、観誦無明除(かんじゅむみょうじょ)、一字含千里(いちじがんせんり)、即身証法如(そくしんしょうほうにょ)

[ 真言は不思議なり、観誦すれば無明を除き、一字に千里を含み、この身ながらに真理を証す ]

※ 多福院と慈恩院の石塔婆(当HP,掲載分) 時代別一覧

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多福院(たふくいん)本堂脇 石塔婆群

 板碑(いたび)

*JR石巻線・仙石線 「石巻駅」下車、南東方向へ徒歩 約1.6Km。

(撮影:平成26年4月10日)