信楽院(しんぎょういん)と蒲生貞秀廟所

 信楽院(しんぎょういん)(滋賀県蒲生郡日野町村井1500)

 信楽院(しんぎょういん)は、この地方の領主であった蒲生(がもう)氏の菩提寺で、浄土宗の寺院

信楽院本堂(県指定文化財、江戸時代 元文四年 1739年、前面に土間を持つ浄土宗本堂の特異な例)

  信楽院 寄せ集め宝篋印塔(笠・塔身・基礎は鎌倉時代後期)

寄せ集め宝篋印塔(蒲生氏郷 遺髪塔)

別物の寄せ集めで、下から宝篋印塔基礎・同塔身・無縫塔請花・五輪塔水輪・宝篋印塔笠・五輪塔空風輪の積み重ね

塔身、蓮華座上月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(「タラーク」:宝生)
笠・塔身・基礎が、別物だが鎌倉時代後期の遺品 金剛界四仏の種子、「ウーン」:阿閦(向かって左側)と「アク」:不空成就(右)

塔身、阿弥陀如来の種子「キリーク(阿弥陀)」の左右に「延慶元年(1308)戊申」「十二月サ二日一結衆敬白」の刻銘がある

宝篋印塔基礎正面、格狭間内に宝瓶三茎蓮の文様を陽刻する
宝篋印塔基礎左右面、格狭間内に開蓮華の近江文様を陽刻する 笠の段形は、下一段、上六段、隅飾は三面が二弧素面

笠の向かって右面 左右の隅飾(右上写真)のみ、二弧輪郭付で内に薄肉彫りをした蓮華座上の月輪内に、梵字「アク」を刻んでいる

基礎は、壇上積式で上端は複弁の反花、背面は格狭間内に散蓮二片を飾る

田岡香逸氏によれば、基礎は推定徳治・延慶(1306~1310)頃のもので散蓮の最も古い資料とされている

 蒲生貞秀廟所 宝塔残欠(滋賀県蒲生郡日野町村井)

  鎌倉時代後期、宝塔基礎の近江文様が素晴らしく美しい

蒲生貞秀廟所五輪塔

蒲生氏郷の祖先、日野城主 蒲生貞秀は、永正十年に没した。江戸時代に追造された五輪塔が立つ。基礎は、鎌倉時代の宝塔の基礎を流用する

正面の基礎、格狭間の内に孔雀対向の文様を陽刻する 基礎側面、中心開花の宝瓶三茎蓮(ほうべんさんけいれん)を陽刻する
基礎側面、中心蕾(つぼみ)の宝瓶三茎蓮を陽刻する 基礎背面、格狭間内に開蓮の文様を陽刻する

基礎は、近江に始まる壇上積式で側面は近江文様で飾られている

蒲生貞秀塔 宝塔基礎(町指定文化財、鎌倉時代後期、花崗岩、高さ 37Cm)

この基礎の近江文様は、第一級の仕事をしている。近江文様の中で一番美しいのではないかと思う

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古い町並みの裏通り、クラシックな家並みが美しい

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**信楽院へは、近江鉄道「日野駅」下車、バス15分「村井本町」下車

(撮影:平成19年7月16日、平成20年11月13日)