勝林寺(しょうりんじ)(埼玉県越谷市大字増林2687)
十三仏種子を刻む代表的な月待板碑で、完存する。室町時代中期 文明四年(1471)の在銘。
勝林寺 十三仏種子板碑(市指定文化財、室町時代中期 文明四年 1471年、緑泥片岩、高さ 120Cm 下幅 35Cm)
身部は、最上段に虚空蔵菩薩の種子を大きく、その下二列に、残り十二仏を蓮華座上月輪内に、十二仏の間に銘文を刻む。 |
板碑 頭部
頭部山形、下に二条線、身部は一重線の輪郭を巻く。身部最上部、左右に「日・月」、中央に天蓋を刻む。
十三仏、最下段向って右の「カーン(不動)」が基点。 | 十三仏種子 |
十三仏の順序は、最下段右側(不動明王:初七日)を基点として、右から左へ、順次上に上がり、最上段の虚空蔵菩薩(三十三回忌)に至る。
十三仏は、死者の追善供養のために①.初七日(不動)、②.二七日(釈迦)、③.三七日(文殊)、④.四七日(普賢)、⑤.五七日(地蔵)、⑥..六七日(弥勒)、⑦.七七日(薬師)、
⑧.百ヶ日(観音)、⑨.一周忌(勢至)、⑩.三回忌(阿弥陀)、⑪.七回忌(阿閦)、⑫.十三回忌(大日)、⑬.三十三回忌(虚空蔵)の十三仏事にわりあてられた仏・菩薩をいう。・・
最初の十仏は、閻魔王など十王の本地仏を、初七日(不動)から三回忌(阿弥陀)までに当て、この十仏に七回忌 阿閦、十三回忌 大日、三十三回忌 虚空蔵を加えたのが十三仏。
十三仏の最上段
⑬.虚空蔵菩薩(三十三回忌)の種子「タラーク」(○内番号は、十三仏の順序)
⑪.阿閦如来(七回忌) | ⑫.金剛界大日如来(十三回忌) |
(ウーン) | (バン) |
十三仏 二段目
二段目は、⑪.阿閦(ウーン)と⑫.金剛界大日(バン)の位置が入れ替わる。
⑩.阿弥陀如来(三回忌) | ⑨.勢至菩薩(一周忌) |
(キリーク) | (サク) |
十三仏 三段目
⑧.観音菩薩(百ヶ日) | ⑦.薬師如来(七七日) |
(サ) | (バイ) |
十三仏 四段目
⑥.弥勒菩薩(六七日) | ⑤.地蔵菩薩(五七日) |
(ユ) | (カ) |
十三仏 五段目
③.文殊菩薩(三七日) | ④.普賢菩薩(四七日) |
(マン) | (アン) |
十三仏 六段目
六段目は、③.文殊(マン)と④.普賢(アン)の位置が入れ替わる。
②.釈迦如来(二七日) | ①.不動明王(初七日) |
(バク) | (カーン) |
十三仏 最下段
最下段右側を基点として右から左へ、一部変則的な段もあるが、①の不動明王(初七日)から始まり⑬の虚空蔵菩薩(三十三回忌)に至る。
身部、中央の刻銘 | 身部下方、前机・三具足(燭台・香炉・花瓶)、その下に交名 |
刻銘は、中央に「月待供養 文明三年(1471)、辛卯、逆修」、左右に「帰命月天子本地大勢至 十一月」、
「為度衆生故普照四天下 廿三日」、「道金」、「道慶」、その下方に前机・三具足(燭台・香炉・花瓶)を刻み、
「覚禅門、口阿弥門、道祐門、了性門、道善門」と五名の交名を刻んでいる。
月待は、十三夜・十六夜・二十三夜などの日に月の出を待ちながら飲食をともにし、月を拝む行事で、二十三夜が最も多く、本板碑も二十三日に
造立されている。また、月待の本尊は月天子で、その本地仏が「大勢至菩薩」であることから「帰命月天子本地大勢至」を念誦して功徳を願った。
板碑、下部
前机・三具足(燭台・香炉・花瓶)を刻み、下に「覚禅門、口阿弥門、道祐門、了性門、道善門」の交名を刻む。
勝林寺 (しょうりんじ)本堂
板碑は、本堂手前の境内に立っている。
増森(ましもり)薬師堂 二十一仏種子板碑 石仏と石塔-目次!
勝林寺 (しょうりんじ)(曹洞宗)
*東武伊勢崎線 新越谷駅東口からタローズバス 越谷市民病院経由 松伏ターミナル行きに乗車、「中山中バス停」下車 北東方向へ約250m。
(撮影:平成24年11月14日)