長慶寺(ちょうけいじ)(埼玉県東松山市神戸1678)
外観が鎌倉中期風だが、鎌倉時代末期 嘉暦年間(1326~29)の造立になる板碑。
長慶寺阿弥陀 種子板碑(鎌倉時代後期 嘉暦年間 1326~29年、緑泥片岩、高さ 169Cm 下幅 62Cm)
隣接する墓地に立っている。頭部山形、下に二段の切込、身部は上方に阿弥陀如来の種子を月輪内に薬研彫し、下方は銘文を刻む。 |
板碑 頭部
頭部山形、下に二段の切込、額部は薄く突出する。身部の輪郭はない。
身部 上方
蓮華座はなく、月輪内に阿弥陀如来の種子「キリーク」を薬研彫する。
鎌倉時代末期の時代、蓮華座なしに種子を刻んでいるのは珍しい。 | 身部下方、中央に紀年銘、左右に四句の偈を各々刻んでいる。 |
身部下方の刻銘は、中央に「嘉暦口口(1326~29)口月十六日」、向って右側に二行「光明徧(遍)照 十方世界」、「念佛衆生 摂取不捨」と
「観無量寿経」に出る偈を刻み、向って左側に二行「願以此功徳 平等施一切」、「同發(発)菩提心 往生安楽国」と「帰三宝偈」に出る偈を刻んでいる。
下方の刻銘の部分は、当日の状態では読めなかったが、「埼玉県板石塔婆報告書 Ⅰ 本文・図版編」(名著出版)の拓本写真に、偈の部分がはっきりと写っている。
身部下方の偈(げ)
「観無量寿経」に出る偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)、十方世界(じっぽうせかい)」「念仏衆生(ねんぶつしゅじょう)、摂取不捨(せっしゅふしゃ)」
[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず ]
「帰三宝偈」に出る偈:「願以此功徳 (がんにしくどく)平等施一切(びょうどうせいっさい) 同発菩提心(どうほつぼだいしん) 往生安楽国(おうじょうあんらくこく」
[ 願わくばこの功徳をもって、あまねく一切に施し、同じく菩提心をおこして、安楽国に往生せん ]
阿弥陀堂(あみだどう)墓地 胎蔵界大日種子板碑 石仏と石塔-目次!
長慶寺 (ちょうけいじ)本堂 (真言宗智山派)
*東武東上線 「森林公園駅」下車 、南南西方向へ 約3.6Km。森林公園駅には、レンタサイクルがある。
(撮影:平成24年11月10日)