川田堂園(かわだどうぞの)角塔婆(榮尊塔)

 川田堂園(かわだどうぞの)供養塔群(鹿児島県鹿児島市川田町1238)

   榮尊(比志島氏の祖)の供養塔で、鎌倉時代後期 永仁五年(1297)の紀年銘を刻む。本石塔群で紀年銘を持つのは本石塔婆だけで、極めて重要。

川田堂園(かわだどうぞの)角塔婆 (県指定史跡、鎌倉時代後期 永仁五年 1297年、凝灰岩、高さ 114Cm)

本碑は、父 榮尊の為に三男 「盛資(もりすけ)」(川田氏祖)が造立したものと推定されている。

石塔群の前列、向かって左端(南側)に立つ。頭部を欠失するが、残る上部に種子の痕跡があり、四面とも刻銘がある。

正面(残部)の刻銘は、上部に「右志者為榮尊菩提也」、その下に「永仁五年(1297).・・・・・」の紀年銘が残る。

裏面(残部)の刻銘は、上に「観無量寿経」、下に「観無量寿経疏」、に出る偈(げ)を刻んでいる。

「観無量寿経」に出る偈(げ)(裏面、上方)

偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)、十方世界(じっぽうせかい)、念佛衆生(ねんぶつしゅじょう)、摂取不捨(せっしゅふしゃ)

[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず。]

「観無量寿経疏」に出る偈(げ)(裏面、下方)

偈(げ):「願以此功徳 (がんにしくどく)、平等施一切(びょうどうせいっさい)、 同発菩提心(どうほつぼだいしん)、往生安楽国(おうじょうあんらくこく)

[ 願わくばこの功徳をもって、あまねく一切に施し、同じく菩提心をおこして、安楽国に往生せん ]

正面(残部)上部の刻銘

刻銘:「右志者為榮尊菩提也」

角塔婆、向かって右側面(北面) 右側面(北面)の刻銘

右面(残部)の刻銘は、上に「・・・霊、・・・・、・・・提、・・・道」、下に「決定生極楽、蓮台成正覚、行常不退転、三有及法界」と刻んでいる。

左面(残部)(南面)の刻銘

左面(残部)の刻銘:「造立志者為僧榮尊 生・・・ 極楽・・・・・・・・・界衆生」

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川田堂園(かわだどうぞの)供養塔群 (県指定史跡、鎌倉時代後期〜室町時代)

榮尊供養角塔婆は、石塔群の前列左端(南側)に立つ。

 板碑(いたび)

*JR鹿児島中央駅前からJRバス 薩摩郡山行きに乗車、「南方校バス停」下車、南南西方向に徒歩 約4分。

(撮影:平成26年5月27日)