明泉寺(みょうせんじ)石塔群 (石川県鳳珠郡穴水町字明千寺ル-18-1)
石塔群は、明泉寺境内にある鎌倉時代~室町時代の約150基の石造物遺物で県の指定史跡になっている。
明泉寺(みょうせんじ)石塔群(県指定史跡、鎌倉時代後期~室町時代 、安山岩)、地蔵石仏(向って左)と板碑(右)
両方とも室町時代後期に描かれた明泉寺絵図に載っている。図では本堂前 中央に立っているが現在は西側奥に移されている。
明泉寺(みょうせんじ)石塔群 (県指定史跡、鎌倉時代後期~室町時代 )
石造層塔
層塔残欠(現状三層で、軸部は二・三層部が欠損) | 五重石塔(境内 西側) |
層塔残欠 最上層屋根
重文の大型五重石塔と同じく作りが精巧で、軒は隅木や二軒繁垂木を作り出す。
明泉寺 五輪塔
山門を入った所に立つ五輪塔
やや大ぶりの空・風輪、水輪は小さい。室町時代風。
境内の五輪塔 | 境内の五輪塔 |
両方とも五輪塔と宝篋印塔が混合した変形五輪塔で、火輪のみ宝篋印塔の笠に置き換えている。
明泉寺(みょうせんじ)石塔群、境内の石塔群 (県指定史跡、室町時代 )
明泉寺 変形宝篋印塔
地輪部が、石塔の基礎になっているものを変形宝篋印塔とした。変形宝篋印塔は沼津市の霊山寺(りょうぜんじ)変形宝篋印塔が有名。
変形宝篋印塔、地輪の上端が複弁反花。 | 変形宝篋印塔、地輪部は基礎で、壇上積式。上端は複弁反花。 |
両方とも宝篋印塔と五輪塔が混合した変形宝篋印塔で、相輪が五輪塔の風・空輪、塔身が水輪に置き換えられている。
塔身(水輪)の中央に、梵字で金剛界大日如来の種字「バン」大きく刻まれている。
変形宝篋印塔
地輪の上端が複弁反花、塔身が五輪塔の水輪、笠の上が別石で水煙、その上に五輪塔の風・空輪。
明泉寺 阿弥陀種字 板碑
室町時代後期に描かれた明泉寺絵図に載っている作品。絵図では、本堂前中央 参道に立っている。
明泉寺阿弥陀種字板碑(県指定史跡、鎌倉時代後期~室町時代前期、安山岩、高さ 160Cm 幅 75.5Cm)
頭部山形、二条線と身部の輪郭はなく、身部に阿弥陀種字「キリーク」をやや縦長に薬研彫りする。根部は、突出させ上方に一対の花瓶を厚肉に刻む。
種字「キリーク」のイー点に涅槃点(右横の二点)がくい込んでいるのは、大変珍しい。
阿弥陀種字板碑 下方 一対の花瓶
通常 花瓶は身部に彫り込むが、本板碑では陽刻している。
渋川市(群馬県)の真光寺一石地蔵石仏龕(江戸前期)がこの手法を使っていたが、この時代では見たことがない。
明泉寺 五輪塔 板碑
明泉寺 双式五輪塔板碑(県指定史跡、室町時代、凝灰岩、高さ 約100Cm 幅 約59Cm 厚さ 約12Cm)
頭部山形、身部は輪郭状に縁を残し他を彫りさげる。中央に五輪塔を二基刻み、水輪部に佛坐像をそれぞれ陽刻する。
明泉寺 板五輪塔(板碑)
板五輪塔(板碑) | 板五輪塔(板碑) |
二基とも、水輪部に金剛界大日如来の種字「バン」を刻んでいる。
明泉寺 金剛界大日種字 板碑
方錐型 金剛界大日種字板碑 | 板碑 |
金剛界大日種字板碑は、頭部が方錐でその下に二条の切込みを入れ、上部 月輪内に金剛界大日の種字「バン」を薬研彫りする。
仏像を刻んだ板碑
阿弥陀坐像 板碑、定印を結ぶ。 | 駒形を彫り下げ、内に蓮華座に座す仏坐像を半肉に刻む。 |
明泉寺(みょうせんじ) 石塔群 (鎌倉屋敷) 石仏と石塔-目次!
明泉寺(みょうせんじ)山門前の石塔群(県指定史跡)
明泉寺は、白雉三年(652)に創始されたという古刹。
* 穴水駅前から宇出津駅前行きバスに乗車、「宇加川バス停」下車 西北方向へ徒歩 約13分。「明千寺バス停」が一番近いが、この路線は本数が少なく地元用で、観光客にはほとんど役に立たない。
(撮影:平成28年8月1日)