高野山町石(ちょういし)五輪卒塔婆

 高野山町石(こうやさんちょういし)(和歌山県伊都郡高野町・かつらぎ町・九度山町)

 九度山町の慈尊院から伽藍大塔まで180町に180基、大塔から奥の院大師廟までの36町に36基の五輪卒塔婆を立て町石とした

13~24町石(伽藍大塔~奥院)

  奥院側(大塔から奥の院大師廟まで36町に36基の町石が立つ。町石は金剛界三十七尊を表し、すべて国史跡)

十三町石(国史跡、大正二年 1913年、花崗岩、本尊種子:金剛宝菩薩)

右面刻銘:「比丘尼覺如」、背面刻銘:「大正二年立秋再建 大阪 中西」

町石五輪卒塔婆は正面に五輪塔の梵字を刻み、その下に大きく本尊の種子、町目、願主名や願文を刻んでいる

十四町石(江戸中期 明和八年 1771年、本尊種子:金剛光菩薩) 十五町石(江戸中期 明和七年 1770年、種子:金剛幢菩薩)
正面:「再興施主、平氏女常子、平氏女住子」 正面:「再興施主野田親宣」
左面:「明和八辛卯年春三月 岩城」 右面:「明和七庚寅年霜月、古塔施主 阿闍梨玄性」

十六町石(国史跡、明和七年 1770年、花崗岩、本尊種子:金剛笑菩薩)

正面:「夫當山之内卒塔婆者金胎諸尊聖衆之本躰今知此境即、為両部曼荼羅也抑徒建立巳来邈口経数百之星霜漸、

頽者及五十余基矣□以□四衆補□□□云」、右面:明和七庚寅霜月再興願主等我」

十七町石(鎌倉時代中期、本尊種子:金剛法菩薩) 十八町石(鎌倉中期 文永四年 1267年、種子:金剛利菩薩)
正面:「菩薩戒尼真行」、右面:「為修理權亮平時氏」」 正面:「沙弥貞阿、比丘尼偏戒」、左面:「文永四年八月四日」

17町石は一の橋入口にあり、一の橋を渡ると奥院墓地に入る。18町石から33町石は、奥院墓地に立っている

十九町石(江戸中期 安永六年 1777年、本尊種子:金剛因菩薩) 二十町石(鎌倉中期 文永四年 1267年、種子:金剛語菩薩)
正面:「為、信解院、圓光院、各成菩提」 正面:「検校法橋覚傳」
左面:「再興施主後藤久邦」、右面:「文永六年六月」 左面:「文永四年九月廿一日」、右面:「為四恩法界平等利益」

二十町石の願主(造立者)法橋覚傳は、高野山の執行検校(しゅぎょうけんぎょう)を務めた高僧

二十一町石(国史跡、鎌倉時代中期、花崗岩、本尊種子:金剛業菩薩)

正面:「比丘尼性明、沙弥良智」、左面:「左衛門尉源家康」、右面:「為過去沙弥託蓮」

二十二町石(鎌倉中期 文永五年 1268年、種子:金剛護菩薩) 二十三町石(鎌倉中期 文永三年 1266年、種子:金剛牙菩薩)
正面:「秋田城介藤原朝臣泰盛」 正面:「刑部権少輔大江忠成」左面:「文永三年二月十五日」
左面:「文永五年戊辰閏正月十七日」 高野山の町石は、慈尊院~伽藍~奥院で、文永三年(1266)銘が
右面:「為祖父入道秋田城介藤原景盛」 最も古く、合わせて三本ある。23町石は、その中で月が一番若い

最も古い文永三年(1266)銘の町石は、23町石の他に35町石(文永三年12月28日)と慈尊院側の161町石(文永3年10月4日)がある

町石は花崗岩製で、大きさは 高さ 267Cmで30Cm角(一尺)を標準としている

二十四町石(国史跡、鎌倉時代中期、花崗岩、本尊の種子:金剛拳菩薩)
正面:「比丘尼信阿 比丘尼観阿」、左面:「沙弥行法 比丘清法、比丘尼真浄 藤原氏女」
背面:「藤原氏女 比丘尼、日光」、右面:「比丘尼知心 藤原氏女、藤原氏女 橘氏女」

高野山町石は弘法大師空海が登山者の道しるべとして、弘仁七年(816)に木製の卒塔婆を建立したと伝えられ、鎌倉時代中期の文永二年(1265)に

覚きょう上人が発願して石造卒塔婆に立て替えられた。20年後の弘安8年(1285)に落慶法要が行われている。桃山・江戸・大正時代に改補修したものもある

14町石の前に建っている苅萱堂(かるかやどう)

父子を名乗ることなく仏道修行に明け暮れた、苅萱道心と石童丸の物語ゆかりのお堂

 高野山町石五輪卒塔婆、25~36町石(奥院側)     町石目次   石仏と石塔-目次!

不動堂(国宝、鎌倉時代 建久八年 1197年建立 鎌倉後期再建、桧皮葺、桁行三間、梁間四間、入母屋造)

鳥羽院の皇女八条院が建久八年に建立し、鎌倉後期に再建された。不動明王を祀る建物で、高野山で最も古い建物の一つ。檀上伽藍に建っている。

                                            (参考文献:「高野山町石の研究」 愛甲昇寛 著、密教文化研究所 他)

五輪塔紀年順   高野山 161町石五輪卒塔婆(慈尊院側)(鎌倉時代中期)  五輪塔-紀年順-目次

*南海電鉄 極楽橋よりケーブル「高野山駅」下車、南海バス乗車。

(撮影:平成20年5月6日、平成21年4月23日、平成21年6月2日))