浄土寺(じょうどじ)宝篋印塔(伝 尊氏塔)

 浄土寺(じょうどじ)宝篋印塔(広島県尾道市東久保町20-28)

   宝篋印塔は鎌倉時代後期の作品にみられる力強さはないが、均整のとれた美しい姿を見せる。南北朝時代の作品。

浄土寺(じょうどじ)宝篋印塔(伝 尊氏塔)(重要文化財、南北朝時代、花崗岩、高さ 191Cm)

塔身、蓮座上月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(正面、タラーク:宝生)
宝篋印塔は境内の南側に安置され、背後に瀬戸内海がみえる。 塔身、蓮座上月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(東面、キリーク:阿弥陀)

塔身の金剛界四仏は、現在、正面(北面)が「タラーク(宝生如来、通常南面)」になっていて、移動または積替えが行われた際に180度逆の位置に設置されている。

段型は下二段、上六段、隅飾は二弧輪郭付で内に蓮座上の月輪を陽刻し、月輪に八方天の種子を陰刻、やや外傾する。

隅飾りの月輪に刻まれた八方天は、四方と四隅(八方)を護持する天部で、「イ(伊舎那天:東北)・「イー(帝釈天:東)」「ア(火天

:東南)」・「エン(閻魔天:南)」・「ニリ(羅刹天:西南)」・「バ(水天:西)」・「バ-(風天:西北)」・「バイ(多聞天:北)」が刻まれている。

塔身、蓮座上月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(正面、アク:不空成就)
塔身、蓮座上月輪内に金剛界四仏の種子を刻む(西面、ウーン:阿閦如来) 惜しくも隅飾りを一箇所欠損するが、中国地方を代表する作品

基  礎

上端は二段の段型、側面は四面とも輪郭を巻き、内に見事な格狭間を輪郭内いっぱいに彫り沈める。

相輪は下から、伏鉢、請花、九輪、請花、宝珠で、九輪は溝を深く彫り込む。この美しい宝篋印塔は、「足利尊氏の供養塔」と称されている。

浄土寺は足利尊氏ゆかりの寺院で、建武三年(1336) 京の戦いで敗れた尊氏は浄土寺に参籠し戦運挽回を祈願した。のち、浄土寺に多くの荘園を寄進

するなど手厚い庇護をする。また、尊氏・直義兄弟が全国に安国寺を設けた際、浄土寺に五層の利性塔を建立した(但し、江戸時代前期に焼失)。・・・・

基壇と台座

基壇は切石の一段、台座は立派な複弁反花を上端に刻む。

 浄土寺(じょうどじ)五輪塔(伝 足利直義塔)                        石仏と石塔-目次!

浄土寺多宝塔(国宝、鎌倉時代後期 元徳元年 1329年、本瓦葺、高さ 20.5m)

国宝の多宝塔は、高野山金剛三昧院多宝塔石山寺多宝塔とともに、わが国三大多宝塔にあげられる。

宝篋印塔紀年順  金剛寺(こんごうじ)宝篋印塔(南北朝時代)  宝篋印塔-紀年順-目次

*JR 尾道駅前より おのみちバス市内本線東行きに乗車、「浄土寺下バス停」下車 すぐ。

(撮影:平成19年8月12日、平成24年9月23日)